No.6 業界隠語暗号編(序論)
不動産屋のうらばなしも第6回目をむかえ、早くもネタが切れかけてきました。うらばなしといっても、あんまりやばいことは書けないし、一般的なことじゃ読者の方はつまんないし…。何か継続的でおもしろいことないかなぁ?なんて思っていたら、以前にもここに登場していただいた中野区のサラリーマン「ゴン氏」から、不動産屋の隠語暗号をネタにしろとの有り難いメールをいただきました。そうです。どんな業界でもその業界の人にしか通じない「ことば」があります。たとえば八百屋さんの店先で店員どうしが品物の仕入れ値を話した場合、お客さんに金額が判ってしまうのは困りますから、「暗号」のようなものを使います。デパートの館内放送でもお客さんには単なるご案内に聞こえても、実は保安係りの呼び出しだったりしているのかもしれません。また秘匿性はなく単に言葉を短くしただけのものもあります。現場到着を現着、大学院生を院生といったりするのがこの例です。さて、不動産業界では…。
No.5 守秘義務と事実告知の義務の矛盾(実務編)
例えば前入居者が首を吊った部屋のように、取引上重要な事項に該当するようなできごとがあった場合、我々不動産屋は宅建業法47条にもとづいて、お客さんにその事実を告知しなければならないことはお話ししました。けれども一般のお客さんは、不動産屋がそんなこと正直に言う訳が無いと思っていることでしょう。それが証拠に、部屋を案内すると、「この部屋で自殺とかありませんでしたぁ?」という方がかなりいらっしゃるものです。まぁ、確かに不動産屋って、海千山千のとんでもない人達がいっぱいいますから、そんな風におっしゃるのもわからなくはないのですが…。
No.4 守秘義務と事実告知の義務の矛盾(後編)
前回のつづきで、守秘義務と事実告知の義務のどちらを優先させるかについてお話しします。例えば前の入居者がアパートのその部屋で首を吊って死んだという事実がある場合、事実告知の義務にもとづいて、それをお客さんに伝えるべきなのでしょうか?それとも、秘密にしていた自殺のあった部屋が大っぴらになってしまったら、大家さんの不利益になるので、守秘義務にもとづいて伏せておくべきなのでしょうか?あるいは、首吊りがあって気味が悪いのは精神的な問題であって、トイレの流れが悪いとか上の階の足音が響いてうるさいというような、物件の構造上の欠陥とは異なるので、取引上重要な事項には該当しないので、守秘義務も事実告知の義務も適用されないのでしょうか。