20年以上前に当サイトで掲載されていたコラム「不動産屋の裏話」がブログとしてここに復活。
不動産屋の古き良き時代から現在までをご堪能あれ。
No.67 引越しのフリー便と退去立ち合い
No.67 引越しのフリー便と退去立ち合い
 会社のホワイトボードを見ていると、今月(5月)は何だか賃貸の解約が多いような気がします。管理会社にとって、解約は次の新規契約へのサイクルの一部なので、経営上それ自体は特に問題ではないのですが、スタッフにとっては退去立ち合い等の業務を担当者として執行するので、件数が多いとそれなりにストレスが溜まるものです。

 賢明な読者の皆さんは既にご存じかと思いますが、退去立ち合いというのは、簡単に言うと、解約に伴って部屋を明け渡す際に、借主様と管理会社のスタッフが現地で顔を合わせ、物件に損耗(破損や汚損)があった場合、それを貸主と借主がどちらの費用負担で直すのかをお互いに確認する手続きです。なので、少なくとも損耗の程度がはっきりとわかる程度の明るさが確保され、かつ室内の荷物がすべて無くなった状態で行われる必要があるのです。

 そのため管理会社のスタッフは、賃貸の解約の申し出を受けると、退去立ち合いの日時が決まり次第、入居者様に連絡をいただけるようお願いして数週間前からスケジュールを組んで準備をしているのです。
 そこで問題となるのが今回のテーマである引越しのフリー便。フリー便というのは、引越しの作業時間を引越し業者の都合に合わせて行う方法のことです。つまり、引越し業者のトラックや作業員が確保されている(余っている?)のに引越しの予定が入っていない、いわば隙間の時間帯に割安な料金で引っ越し作業を押し込む方法です。引越し業者における資源の有効活用とでもいいましょうか。午前中の1件目の引越しが終わった後、まだ日の高いうちからトラックを車庫に戻したり、作業員を終業時間まで事務所で遊ばせておくのはもったいないですからね。
 そんな事情から、フリー便は作業がその日の2件目、3件目になるためトラックの到着時間は前後するし、作業開始予定の時間については引越し当日になってから連絡がある場合がほとんどで、依頼者は予定を一日中空けておく必要があります。まっ、引越し業者には絶対に運行管理者がいるので翌日の運転要員や予定は決まっているはずですが、格安で利用するフリー便のお客には、そこまで情報を出さないんでしょうね…。正規料金を払っていないのに、予定より遅いの早いの言われたくないですよね。だからフリー便なんですよ。
 そろそろ賢明な読者の皆さんは展開が読めてきましたね。そうです、管理会社のスタッフが数週間前から組んでいる退去立ち合いの時間に、引越しのフリー便のトラックが来ないと退去予定者が騒ぎ出すのです。引越し業者は来ないし日没で暗くなっても電気を解約したので明かりは点かないし…。別にどんなに安い引越し業者に依頼をしようと構いませんが、こちらは遊んでいるのではありません。仕事なので時間で動いているのです。フリー便を使うのは勝手ですが、まともな大人ならば人様に迷惑をかけるような行為は厳に慎んでいただきたいです。例えば、フリー便で予定が不明なのであれば、引越しが終わった後の別日に退去立ち合いを設定しておくとか…。

 あー、書いていて段々とムカついてきた。マジでストレスが…。そんな訳で、次回予告は、退去時に管理会社がムカつくトップ3(多すぎてトップ10になるかも)です。乞うご期待!