20年以上前に当サイトで掲載されていたコラム「不動産屋の裏話」がブログとしてここに復活。
不動産屋の古き良き時代から現在までをご堪能あれ。
No.59 チェンジキー
No.59 チェンジキー
 賃貸物件を探していると、建物の設備で「チェンジキー」という言葉を時々目にされると思います。これって、何のことだか分かりますか?賢明な読者の皆さんは容易に想像がつくかと思いますが、読んで字のごとく玄関扉に付いているカギ(錠)の本体(シリンダーとか雌カギともいいます)を交換しなくても、雄カギ(皆さんがキーホルダーにつけている金属製の棒状の鍵)さえ交換すれば、以前の鍵では解錠ができなくなるシステムです。

 チェンジキーの仕組みとしては、特殊な鍵を差し込んでシリンダー内部のギアを初期化したり、一昔前のホテルのカードキーのように穴の開いたプラスチックの板を差し込むとその板状の鍵でしか開かなくなるようなシステム、あるいは生体認証で解錠するもの等、いろんな種類があるものです。ただ、何れにも共通するのが錠の本体(シリンダー、雌カギ、etc.)を交換する必要がないので管理会社や貸主の手間や経費を削減することができ、そのため入居者側に鍵交換代が請求されないのが一般的です。
 話は転じて、鍵の交換費用は誰が負担すべきものなのか。国土交通省の原状回復ガイドラインでは鍵交換費用の負担は原則として貸主。でも、これって(退去時の)原状回復のことだから、入居時の鍵交換の費用負担を示している訳ではないので、最終的に誰が鍵交換費用を負担するかは契約条件に沿って決まることになります。

 どういうことかというと、物件の募集広告に鍵交換費用15,000円と記載されていた場合(要は契約上で借主負担の場合)、入居希望者がそれを支払いたくなければ前述のチェンジキーの物件や貸主が鍵交換代を負担してくれる物件を選べば良いし、鍵交換代を支払う意思があればそのまま申し込めば良いだけのことです。
 えっ、チェンジキーの説明ばかりで不動産屋の裏話になってないって?いやいや、鍵交換の借主負担なしでセキュリティーが確保できるチェンジキー、人気があるのはわかります。でもね、鍵交換代不要をうたっていても貸主側でギアの初期化やデータの書き換えをした証拠ってありますか…?使い古された艶のない鍵を渡されても、チェンジキーで錠本体がリセットされているからと変に納得していませんか…。
 もちろん、チェンジキーを製造している会社はそんなに多くないので、プロが見ればこれはチェンジキーのシステムで使われる鍵なんだなと大抵わかります。でも、鍵交換に私どもが関与していない非管理物件で、貸主側からチェンジキーなので鍵交換費用を借主側に請求しなくて良いと言われるケースも稀にあります。まぁ、見慣れたチェンジキーのメーカーのものならば本体のリセットをしてくれているのでしょうが、見たこともない得体が知れないものだと、チェンジキーの機能自体が本当についているのか大いに疑問が残るところです。もしかして、前の人が使っていた鍵をそのまま新しい入居者に渡しているだけだったりして…。

 何れにしても、なんちゃってチェンジキーにはご注意ください。入居時の初期費用を少なく見せる手段として入居者の安全性が犠牲になっていたら本末転倒です。
 ちなみに、センチュリー21石川土地建物ではチェンジキーシステムが導入されている管理物件の場合、入居者様にいったん初期化前の鍵で入室していただき、目の前で初期化作業を行い、初期化前の鍵で扉が開かなくなったのを確認していただいてから新しい鍵をお渡しするシステムを採っています。