20年以上前に当サイトで掲載されていたコラム「不動産屋の裏話」がブログとしてここに復活。
不動産屋の古き良き時代から現在までをご堪能あれ。
No.77 ゴミ屋敷
No.77 ゴミ屋敷
 今日、賃貸の更新手続きに来ていた入居者様ですが、うちの女性スタッフに誓約書を書かされていました。なんでも管理しているアパートの室内がゴミ屋敷の状態だったので、更新期日までに室内をきれいにする約束をしていたのですが、案の定、期日の直前になって、どうしても片付けられないと泣きを入れてきたそうです。

 まぁ、よくある話なのですが、不動産屋はこんな時にどうするのかって?一応、普通賃貸借契約なので更新拒絶は難しいし、通常は賃貸の更新時に損害保険も満了するため、それこそゴミに火でもついたら大変なので、契約更新と保険加入については進めざるを得ない状況となります。

 けれども、何年間も部屋を片付けられなかった訳ですから、こんな風に直前の申し入れをし、どさくさ紛れで契約更新に突入するのはプロの不動産屋から見れば織り込み済み。法定の消防設備点検で業者が室内に立ち入る時も、排水管の高圧洗浄で作業員が浴室や台所を施工する時も、ずっとドタキャンで切り抜けてきましたよね。不動産屋は一連の経過を記録しています。不動産屋を見くびってはいけません。
 そんな経緯から冒頭の誓約書の提出に至ったという流れです。内容はというと、今後1ヶ月の間に部屋の片づけを行いゴミ屋敷の状態を解消いたします。1ヶ月後に問題が解消されない場合は、貸主が「善良なる管理者の注意義務違反」とみなして当該賃貸借契約を解除しても異議は有りません。また、契約が解除された際には、ゴミ屋敷の状態を放置したことによる破損、汚損については原状回復費用を弁済いたします。といったところです。

 そして今後は、この誓約書を根拠に担当の女性スタッフと大家さんがタッグを組んでゴミ屋敷の解消に向かって尽力するでしょう。えっ?尽力するでしょう、ってずいぶん無責任な物言いじゃないかって?
 いやいや、無責任なんかじゃありません。自信があるんです。こちらの女性スタッフですが、以前にも、かなり重度のゴミ屋敷の住人(ゴミ屋敷ドゥエラー?)を更生させている実績があるので任せておいても大丈夫。まるで母親が我が子を諭すかのように優しく、時には厳しく部屋の整理を促します。まさしく飴と鞭。そして期日を定めて臨検(現場での検査)を実施するのです。
 ゴミ屋敷ドゥエラーは、長年にわたりゴミで足の踏み場もない状態に安住していますので、女性スタッフによる現認で恥ずかしい思いをすることがきっかけとなり新たな一歩を踏み出します。そして粘り強く促されて片付けを実行し、臨検によるチェックを改善につなげて行く、いわば往年のPDCAサイクルのようなフレームワークを持って対応することによりゴミ屋敷を解消していくのです。手間はかかりますが、これも賃貸管理会社の地味な仕事の一部です。