20年以上前に当サイトで掲載されていたコラム「不動産屋の裏話」がブログとしてここに復活。
不動産屋の古き良き時代から現在までをご堪能あれ。
No.58 夜間・休日の緊急対応サービス
 夜間・休日の緊急対応サービス、もちろん弊社でも使っていますが賃貸管理に力を入れている不動産屋には無くてはならないサービスです。不動産屋が閉まってしまった夜間や休日にトイレを詰まらせてしまったり、鍵を紛失して家に入れなくなってしまっても、専門業者が駆けつけて対応してくれるので、入居者様にとっても心強い味方です。
 でもね、この緊急対応サービスが心強い味方になるのは、本当に困っている人に対してだけです。賢明な読者の皆さんは既にお気付きかと思いますが、これを自分本位に都合の良い解釈をして出動を要請すると結構面倒なことになります。

 例えば、水道のパッキンの劣化で水滴がポタポタと落ちるのが気になるけれども、仕事が休みの土日に修理の立会いをするのは嫌なので、夕飯を食べたら業者を呼んで事を済ませてしまえばいいや、と。
 もちろん、あくまでも緊急対応サービスなので、夜間に電話をかけて蛇口から水が垂れると言えば、それは緊急案件ではないので翌日の日中対応にしてくださいとオペレーターに言われます。でも、夜間に修理をさせたい人は確信犯なので、大げさに水道の水が止まらないと主張する訳です。
 何か、かつての救急病院の夜間外来に似ていませんか?話は水道の漏水修理(実は単なるパッキン交換?)に戻りますが、例えば夜の8時に緊急対応を要請したところで、先ずは対応可能な業者を探すことから始まります。町場の水道屋さんは概して職人肌なので夜間に仕事なんかしたくないものです。そのため少数の夜間緊急対応を専門にしている業者さんに要請が集中する訳です。彼らは一晩の間にいくつもの現場を回ります。あなたのために事務所でお茶を飲みながら待機しているのではありません。なので緊急要請をしてしばらくするとオペレーターから連絡が入り、最短で0時30分に現場到着可能です、なんて言われます。まっ、作業が終わるのは真夜中の1時とか2時を過ぎることになるのでしょうか…。
 オペレーターからの連絡を待つ間は落ち着いて風呂にも入れませんし、くつろいで美味い酒を飲むこともできません。また、真夜中に他人を自宅に迎え入れるのは結構なストレスです。パッキン交換ができたとしても、一晩の大半を修理の準備に費やして睡眠不足で翌朝会社に行くのでは本末転倒です。
 救急病院の夜間外来もそうですが、診察に長時間待っても簡単な処置しかしてもらえなかったり、会計のために翌朝の来院が必要だったり。
 要は夜間や休日のサービスは、本当に困っている人にとっては心強い味方であるが、自分本位の「良いとこ取り」で利用するのは、あまり割の良いものではないということです。