20年以上前に当サイトで掲載されていたコラム「不動産屋の裏話」がブログとしてここに復活。
不動産屋の古き良き時代から現在までをご堪能あれ。
No.57 これから上京してアパートを探す方へ
 今、不動産業界は春の繁忙期。正月休みから、あれだけ大量の不動産屋のテレビCMを流されれば、特に初めてアパートを探すお客さんが煽られてしまうのは理解できます。

 でも、不動産屋の立場からすると繁忙期って、そんなに美味しいものではありません。まぁ、お客さんが焦ってやって来るので、普段は決まりにくい物件が、この時期に限っては割とすんなりと決まってしまうという事実は確かにありますが…。

 弊社の場合は管理物件と専任媒介物件しか扱わないので、いくらお客さんが大勢いらしても成約できる物件数には限りがありますし、この時期は特にアポ無しで内見をしようとする方が急増するので、やむなくお断りをしたり、スケジュールを改めて調整し直すのに手間がかかり、疲労感だけが蓄積されていく感じです。
 ところで、そんな疲労困憊の状況で不動産屋に追い討ちをかけるのが、本当に体一つで上京してしまう方々。かつては演歌歌手や企業の創業者が地方から体一つで上京し、裸一貫からトップスターの座や巨万の富を築いたといった武勇伝をよく耳にしたものですが、実際のところはどんなものだったのでしょうか?まぁ、特別な才能や運をお持ちだったのかもしれませんが…。

 ただ、当時は同郷の知り合いの家へ転がり込んだり、あるいはアパートを借りるにしても大家に敷金を何ヶ月分も預けるので、しっかりとした連帯保証人さえ付いていれば契約者の状況についてはあまり関知されなかったと推察されます。

 でも現在はどうでしょう。業者間の競争により敷金は有っても家賃の1ヶ月分程度が相場で、中には敷金も礼金も無い、いわゆるゼロゼロ物件というのも存在します。また、2020年4月の民法改正により連帯保証人制度の使い勝手が悪くなったため、機関保証といっていわゆる保証会社が契約者の家賃支払い債務を保証するのが完全に一般的となりました。

 敷金という云わば家賃滞納に対する担保が少なかったり無かったりするような状況では、保証会社は何を見て保証を引き受けるか断るかを判断するのでしょう?それは、契約者自身に家賃の支払い能力があるか否かに決まっているじゃないですか。要は、安定的かつ継続的な収入があることが絶対的な条件となるのです。

 なので、これから上京してアパートを探すには、必ず新しい就職先の内定を得てからにしてください。貯金通帳に多少の残高があっても、ひとかどの人物を連帯保証人として付けると頑張っても保証会社は受けてくれません。昭和の演歌歌手や企業創業者の話を鵜吞みにすると必ず痛い目に遭いますからご注意ください。