20年以上前に当サイトで掲載されていたコラム「不動産屋の裏話」がブログとしてここに復活。
不動産屋の古き良き時代から現在までをご堪能あれ。
No.16 不動産屋の七つ道具編(その3)
 不動産屋の七つ道具編(その3)は、「看板」です。看板といっても、お店の上に掲げられている大きいやつではなくて、よく空室のあるアパートなんかに掛けられている、「入居者募集」とか「空室あり」みたいな小さいやつです。なんで看板がうらばなしのネタになるのかって?はい、実はこの看板、けっこう厄介なんです。どうせお客さんを集めるために掛けてるだけでしょって?確かにそうなんですけど、ただ掛ければいいという物でもありません。この看板、よく盗まれるんです。たぶん材質がFRPなので、日曜大工や工作のマニアの人達が素材にするんで持っていくのでしょう。以外と値も張るので盗られない所を選んで掛けなくてはいけません。また、建築中のアパートの足場などに掛けておくと、いつの間にか工事の人に建築資材といっしょに片付けられて無くなってしまいます。そんな訳で当社の場合、常に看板は品薄状態にあるのです。
 そんな貴重な看板ですから、大切な1枚を遠くからもひと目でわかるベストポジションを選んで掛けるのが原則です。でも、そうは問屋が卸しません。我がままな大家さんがいて、空室が埋まらないと、2枚掛けろとか3枚掛けろとか言われます。自分のアパートが埋まらないからって何枚も看板掛けるのって、近所とかの手前、恥ずかしいと思うんですが…。
 厄介な問題は他にもあります。いつまでも入居者が決まらなくて何ヶ月も看板を掛けっ放しにしておくと、某大手不動産会社の営業マンがその看板を見て、大家さんを調べて営業を仕掛けてきます。「こんないつまでも客付けできない業者はやめて、ウチで入居者募集させてくれませんか」って。このように「看板」ってけっこう厄介なものなんです。だからすぐ入居者が決まっちゃう優良物件には、意外と看板は掛かってないものなんです…。

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2000/08/25 | 固定リンク | 過去ログ