No.56 点検商法にご注意ください!(冬期休暇特別企画)
今回のテーマは「点検商法にご注意ください!」です。「20年前には無かったもの」は一時中断となりますが、これだけは年内に書いておきたかったのでご勘弁ください。
さて、点検商法という言葉ですが、もちろんこれは20年以上前からも存在し、典型的なものですと、古くはガス給湯器の無料点検と言って消費者を点検に同意させ、お宅の機器はガス漏れのリスクが高いと言って消費者の不安を煽り、今なら特別に定価の30%引きで交換できますと売りつける類のものでした。もともと古めの機器を設置している家を訪問しているのだからガス漏れのリスクはゼロではないでしょうし(それでも風通しの良い屋外に設置されているのだからガス漏れで爆発するわけないですね)、給湯器の掛け率(割引率)は、定価の30%引きよりも全然大きいので完全なるぼったくり。でもこの商法の肝は、嘘は言っていないし営業トークと言えばそれまでなので、グレーゾーンかもしれませんが、令和の現在でも依然として行われています。
私が今回のテーマとして書きたいのは、上記の変種の様なものです。画像は、東京土建一般労働組合様の注意喚起ポスターを借用させていただいたものですが、建設業界としても相当に困っているのでしょう。内容はこのポスターに記載されているように「無料点検に来たと突然訪問し、不安を煽る嘘の報告。工事の契約や商品・サービスの購入を迫ります。」というものです。「屋根の瓦がずれてますよ」、「火災保険で工事が無料になりますよ」と言って建物の住人の興味を引いて近づき、高額な契約をさせるのです。
さて、点検商法という言葉ですが、もちろんこれは20年以上前からも存在し、典型的なものですと、古くはガス給湯器の無料点検と言って消費者を点検に同意させ、お宅の機器はガス漏れのリスクが高いと言って消費者の不安を煽り、今なら特別に定価の30%引きで交換できますと売りつける類のものでした。もともと古めの機器を設置している家を訪問しているのだからガス漏れのリスクはゼロではないでしょうし(それでも風通しの良い屋外に設置されているのだからガス漏れで爆発するわけないですね)、給湯器の掛け率(割引率)は、定価の30%引きよりも全然大きいので完全なるぼったくり。でもこの商法の肝は、嘘は言っていないし営業トークと言えばそれまでなので、グレーゾーンかもしれませんが、令和の現在でも依然として行われています。
私が今回のテーマとして書きたいのは、上記の変種の様なものです。画像は、東京土建一般労働組合様の注意喚起ポスターを借用させていただいたものですが、建設業界としても相当に困っているのでしょう。内容はこのポスターに記載されているように「無料点検に来たと突然訪問し、不安を煽る嘘の報告。工事の契約や商品・サービスの購入を迫ります。」というものです。「屋根の瓦がずれてますよ」、「火災保険で工事が無料になりますよ」と言って建物の住人の興味を引いて近づき、高額な契約をさせるのです。
これが不動産屋にどう関係があるのかって?弊社でも賃貸用の一戸建貸家というのは結構人気が高く、築40年とか50年といった古い物件だと広さの割に安く借りられるので、若い家族やカップルからも一定の支持を得ています。子供が多少騒いでも、深夜まで友人と飲んで盛り上がっても、上下左右の隣室を気にしなくて済むのは魅力的でしょう。そんな若い家族やカップルが借りている戸建て貸家を点検商法を企む輩が突然に訪れるので厄介なことになるのです。
賃貸物件を借りるとき、貸家のみならずアパートでもマンションでもうるさく言われるのが、損害賠償の関係。特に、雨漏りだとか自然損耗や経年変化が原因の場合は貸主の費用負担で直しますが、借主がそれを放置して結果的に建物が腐ったり鉄骨が錆びたりした場合には、借主がそれを賠償してくださいね、という考え方です。たとえ賃貸であっても一軒の家を民法で定められた善良なる管理者の注意義務をもって住むのは大変なこと、ましてや若い借主様だと、不動産屋の立場から見てもそれなりのプレッシャーになると思います。なので、点検商法を企む輩(当然、借主様は彼らの意図を認識していない)がアプローチすると、「知らない建築会社が来てお宅の屋根がどうにかなっていると言われた」と不動産屋へ報告と修理要請が入る訳です。
ここで特徴的なのは、ほぼ全ての借主様が屋根が壊れていると言ってきた業者または人物の名前を答えられないこと。つまり、点検商法を企む連中は、建物に住んでいるのが物件の所有者ではなく、工事の契約をする権限のない賃貸の借主であることが分かった途端に、善意の工事業者を装ってソフトランディングを図っているということです。「不動産屋さんには念のため報告しておいた方がいいですよ」って。こうして不動産屋は点検商法の後始末をさせられることになるのです。
どんな後始末かって?もちろん賃貸契約書の内容を忠実に履行している借主様に対し「これ、たぶん点検商法、だから無視してください」とは言えないです。また不動産屋の立場としても、ガセとは思いつつも状況を確認せずにスルーするのは、実際に屋根に不具合があった場合を考えるとちょっと無理。そこで貸家のオーナー様へ相談するのですが、たいてい「ガセの可能性は高いけど、若い借主様を不安にさせるのも申し訳ないから調査してあげて」となります。そして我々不動産屋は、今度は建設業者さんに頼んで屋根に上がって確認してもらうようお願いするのです。お願いですよ。仕事の発注ではありません。建設に従事する人の組合が「点検商法にご注意ください!」のポスターを作るほどですから、こちらでも腹の中は100%ガセの予想ですが、人手不足で超多忙な中をお願いして動いてもらうのです。
賃貸物件を借りるとき、貸家のみならずアパートでもマンションでもうるさく言われるのが、損害賠償の関係。特に、雨漏りだとか自然損耗や経年変化が原因の場合は貸主の費用負担で直しますが、借主がそれを放置して結果的に建物が腐ったり鉄骨が錆びたりした場合には、借主がそれを賠償してくださいね、という考え方です。たとえ賃貸であっても一軒の家を民法で定められた善良なる管理者の注意義務をもって住むのは大変なこと、ましてや若い借主様だと、不動産屋の立場から見てもそれなりのプレッシャーになると思います。なので、点検商法を企む輩(当然、借主様は彼らの意図を認識していない)がアプローチすると、「知らない建築会社が来てお宅の屋根がどうにかなっていると言われた」と不動産屋へ報告と修理要請が入る訳です。
ここで特徴的なのは、ほぼ全ての借主様が屋根が壊れていると言ってきた業者または人物の名前を答えられないこと。つまり、点検商法を企む連中は、建物に住んでいるのが物件の所有者ではなく、工事の契約をする権限のない賃貸の借主であることが分かった途端に、善意の工事業者を装ってソフトランディングを図っているということです。「不動産屋さんには念のため報告しておいた方がいいですよ」って。こうして不動産屋は点検商法の後始末をさせられることになるのです。
どんな後始末かって?もちろん賃貸契約書の内容を忠実に履行している借主様に対し「これ、たぶん点検商法、だから無視してください」とは言えないです。また不動産屋の立場としても、ガセとは思いつつも状況を確認せずにスルーするのは、実際に屋根に不具合があった場合を考えるとちょっと無理。そこで貸家のオーナー様へ相談するのですが、たいてい「ガセの可能性は高いけど、若い借主様を不安にさせるのも申し訳ないから調査してあげて」となります。そして我々不動産屋は、今度は建設業者さんに頼んで屋根に上がって確認してもらうようお願いするのです。お願いですよ。仕事の発注ではありません。建設に従事する人の組合が「点検商法にご注意ください!」のポスターを作るほどですから、こちらでも腹の中は100%ガセの予想ですが、人手不足で超多忙な中をお願いして動いてもらうのです。
どうして不動産屋は屋根に上がって確認する程度のことで、こんなに色々と言うのかって?先ず何でもそうですが、人が動けば金が動くというのはビジネスの大原則です。また、梯子(はしご)を簡単にかけられない場所もあり、その場合は高価な足場を組むこととなります。そしてこんな仕事を自分からやりたがる建設業者さんは皆無に近いのです。点検商法のいい加減な言葉のために、我々不動産屋はオーナー様に費用負担のお願いをしなければなりませんし、付き合いのある建設業者様にも屋根へ上がってもらえるように頭を下げてお願いしなければなりません。
ところで、今回はずいぶん長々と書いてきたけど全然「裏話」になっていないって?じゃ、最後に少しそれっぽいことを書きましょう。
この手の点検商法って、会社を構えてやるものではなく、口のうまい営業と工事を施工する(施工したふりをする)作業員がグループになって、今週は江戸川区で翌週は●●県××町といったように地域を定めて稼ぐだけ稼ぎ、足がつく前に遠方へとんずらするのがお決まりでした。
でもね、今は少し様子が変わってきました。驚くなかれ大手ハウスメーカーの関連会社も似たようなことをやっています。しかも、ただ闇雲に営業をかけるのではなく、過去に親会社が施工した顧客リストをもとに賃貸物件のオーナー様に近づき、火災保険を使えば工事が安く済むと言って割高な防水塗装工事を取ったり、賃貸物件の入居者様宅へ直接上がり込み、オーナー様へこんな要望がありますけどどうしますか?みたいなことを平気でやります。
賢明な読者の皆さん、これからは大手ハウスメーカーの名前を出されたからって鵜吞みに信じちゃダメですよ!
ところで、今回はずいぶん長々と書いてきたけど全然「裏話」になっていないって?じゃ、最後に少しそれっぽいことを書きましょう。
この手の点検商法って、会社を構えてやるものではなく、口のうまい営業と工事を施工する(施工したふりをする)作業員がグループになって、今週は江戸川区で翌週は●●県××町といったように地域を定めて稼ぐだけ稼ぎ、足がつく前に遠方へとんずらするのがお決まりでした。
でもね、今は少し様子が変わってきました。驚くなかれ大手ハウスメーカーの関連会社も似たようなことをやっています。しかも、ただ闇雲に営業をかけるのではなく、過去に親会社が施工した顧客リストをもとに賃貸物件のオーナー様に近づき、火災保険を使えば工事が安く済むと言って割高な防水塗装工事を取ったり、賃貸物件の入居者様宅へ直接上がり込み、オーナー様へこんな要望がありますけどどうしますか?みたいなことを平気でやります。
賢明な読者の皆さん、これからは大手ハウスメーカーの名前を出されたからって鵜吞みに信じちゃダメですよ!