20年以上前に当サイトで掲載されていたコラム「不動産屋の裏話」がブログとしてここに復活。
不動産屋の古き良き時代から現在までをご堪能あれ。
No.8 業界隠語暗号編(その2)
 今回も前回からのつづきで「重説」、すなわち「重要事項説明」についてです。「重説」の詳細は、不動産屋のうらばなし No.6 業界隠語暗号編(序論)およびNo.7 業界隠語暗号編(その1)を見てください。
 さて、不動産屋で賃貸アパートの「重説」を受けたことのある人は、その時のことを思い出していただけたでしょうか?。重要事項の説明を受け、書面を受領しましたという署名捺印をさせられたかと思います。でも、それが慣習にこそなっていても法律には何ら記載のないことだとういのは前回説明したとおりです。
 他には何か思い出しませんでした?。えっ!契約まで担当していた営業マンが奥へ引っ込んで、急に受付のおばちゃんがやり始めて戸惑った、あれのことかって?。まぁ、確かによくある状況ですが、そんなことじゃありません(ちなみに、契約後に重説しているのでこれも違反)。それよりもっと悪質な魔の手が潜んでいるのです。「重説」の最後の方に、思いっきり小さな字で賃料の1ヶ月分の仲介手数料を支払うことを承諾します、なんて書いてありませんでしたか…?。ましてや1ヶ月分の「1」の字がしっかり印刷されていたりなんかして…。
 実は、アパートなどの住宅(居住用建物)の貸借の仲介の場合には、不動産屋は賃料の1ヶ月分に相当する金額以内しか報酬をもらえないのですが、依頼者の承諾を受けている場合を除き、不動産屋は貸主と借主から賃料の2分の1ヶ月分(0.5ヶ月分=半月分)を、それぞれからもらい、合計で1ヶ月分とするのが大原則なのです。したがって、お客さんからは最高で1ヶ月分の賃料に相当する報酬をもらうことはできるのですが、それはあくまでもお客さんの承諾があった場合のみであって、始めから1ヶ月分と印刷しておいて後からサインをさせるのは、すじが違うことなのです。ましてや、この報酬以外に借主から「消毒料」を取ったり、貸主から「広告料」を取るのは完全な業法違反となるのです。これらの行為が発覚して大手賃貸仲介会社が10日間の業務停止処分を受けたことは、みなさんもご記憶にあるかと思います。
 ですので、ちゃんとした業者でしたら「重説」に手数料支払いの承諾の項目が有ったとしても、金額に相当する月数の部分は空欄になっているはずですから、不動産屋のうらばなしを読んでいる賢いみなさんは、そこに「1」ではなく「0.8」とか「0.5」と書いてさしあげて、不動産屋が1ヶ月分もらう為にどんなトークをするのか楽しんでみてください。
 次回は、不動産屋のうらばなしNo.6で予告した、「両手or片手」についてです。

※このページでは、当サイト開設当時(平成12年頃)の名物コラム「不動産屋のうらばなし」に掲載された過去ログを便宜的に表示していますので、時代の変化、および法令改正や省庁のガイドラインの変更などにより、現在の情勢とは異なる記述がございます。また、利用者の特定の目的に適合すること、有用性、正確性を保証するものではなく、掲載内容についてのトラブル等、いかなる責任も負いません。あらかじめご了承ください。

2000/08/25 | 固定リンク | 過去ログ